DEF LEPPARD:"HYSTERIA"(1987)
Mobile Fidelity (1990/10/25)
売り上げランキング: 15,209

7曲のヒットを生み、1000万枚以上を売り上げたモンスターアルバムです
歴史的名盤
精緻なプロダクション個々の楽曲として「名曲!」と感じさせることはあっても、アルバムとして「完璧だ」と思わせる作品にお目にかかる事は滅多にない。特に収録曲、時間ともに容量の増えたCDの時代に入ってからはそうした傾向が強いと思う。
本作はそんなCD時代の黎明期に登場した大傑作だ。
正直、1回聴いたくらいでは「そんなに凄いかぁ?」と感じるんじゃないかと思う。実際、当時の自分がそうだった。洗練されたキャッチーな3、6、10がポップス・ファンに、ハード目な音が好きなリスナーには、デビュー時以来のノリの良さを感じさせる2、8、9、11あたりが印象に残るのではないかな。
そうして繰り返して聴いている内に一曲たりとも捨て曲がない事にふと、気が付かされる。全ての曲にフックの利いたハーモニー・ヴォーカルを効果的に配し、楽曲の構成は緻密で徹底的に練り上げられている…何だかこのアルバム、凄いぞ、と段々判って来るのだ。
実際、当時のチャート・アクションもそうだった。発売時のシングルは米国は1、英国では3、それぞれビデオ・クリップが作られたものの、はっきり言って大して売れなかった。火が点いたのは5がシングル・カットされてからだったと記憶しているが…QUEENの"We Will Rock You"をモダンにしたかのような曲だが、これが受けてアルバムもバカ売れ、その後、シングルを切る度、アルバムがチャートのベスト3に入るという動きを繰り返し、気がついたら米国だけで1,000万枚を売り上げていた。
レコーディングに3年近くを費やした本作は、その制作費用だけでとんでもない金額がかかっており、200万枚売っても利益が出ない、とさえ言われていた。例えば、ギターのコードの録音にも曲によっては一弦ずつ別々に弾いて録音したと言われている。こうした作り手の異常なまでのこだわりを思えば、未だに売れ続けているのも当たり前かもしれないが…
レコーディングの途中でリック・アレンが交通事故で片腕を失うという悲劇にも直面したものの、特注のシンセ・ドラム・キットを駆使することで乗り切っている。確かに、この一件で前作までの大きな特徴であった「AC/DCのグルーヴとQUEENのハーモニーのハイブリッド」路線は放棄せざるを得なくなった。
しかし、それならばと近未来的なリズム・セクション、ゴージャスなハーモニー・ヴォーカル、ヴィンテージなギター・サウンドとを一体化させる事で作り上げた奇跡的、魔法のような音像は今後、二度と作りだされる事はないだろう。当時、アナログ・レコードとCDが同時に売られている時代であったが、事前に音を聴いて私は「これはCDで買うべきアルバムだ」と思ったものだ(今は両方買っとけば良かったと思ってる)。
時が経ち、繰り返し聴くにつれ、感じるのが、スティーヴ・クラークの存在感である。彼の奏でるギブソン・レスポールによるギター・サウンドこそがキャッチ―な楽曲においても、骨太な質感を与え、唯一無二の個性を成していた。仕方のない事だけれど、後の作品を聴くにつけ、失ったものの大きさが感られ、ただただ、残念でならない。
ちなみに私はリリース当時のCDを持っていたものの、約20年の時を経て音飛びがついに発生、止むを得ず、SHM-CDにて買い直した。こちらはボーナス・トラックとして12のライヴ・ヴァージョンが収録されている。この頃はジョー・エリオットの声が良く出てるなぁ…ライヴだと、意外なほどAC/DCを思わせる部分が強く出ているのがわかる。
THE BEATLES、THE ROLLING STONESやLED ZEPPELINといったロック・クラシックと共にCDラックにフェイス陳列すべき作品として、是非是非、オススメします。
1. WOMAN 5:41 ←黒矢オススメ
前作のようなオープニングを予想すると、スローなテンポ、シンセ・ドラムの音色に少なからずショックを受けるかもしれないが、繰り返し聴くと、その劇的な構成に夢中になってしまう。特にギター・ソロはたまりません。最初のヴァース、リズム・セクションとヴォーカルだけで進む中、ギターがフェイド・インするあたりも鳥肌がたつほどカッコ良い。
2. ROCKET 6:34 ←黒矢オススメ
タイトル通り、モダンでスペイシーな音作りが印象的。LED ZEPPELINの"Whole Lotta Love"の'80年代版を狙ったらしく、中間部にはヴォーカルやギターなど、エフェクトを駆使して様々な音色を突っ込んである。
3. ANIMAL 4:02 ←黒矢オススメ
爽やかな曲。バンドのメロディック、ポップな面をさらけ出したような感じ。音作りがモダンというよりは、自然な印象を与える。
4. LOVE BITES 5:46 ←黒矢オススメ
ロックというより、エレクトロニック・ポップを思わせるバラードで、シングルで1位を獲得。正直、当時の自分には理解不能な曲だった。今聴くと、淡く美しいメロディ、サウンドが何とも切なく感じる。コーラスの歌メロが素晴らしい。
5. POUR SOME SUGAR ON ME 4:25 ←黒矢オススメ
これは曲よりもビデオ・クリップが「何じゃ、こりゃ?」だったなぁ…。QUEENの"We Will Rock You"を実に巧妙に焼き直してあって笑える。"We Will Rock You"に比べると全体の構成は凝ってるけど。
6. ARMAGEDDON IT 5:21 ←黒矢オススメ
タイトルを見るとかなりヘヴィな曲に思えるが、これは"I'm Getting It"という言葉を「空耳アワー」のようにもじったタイトルで、恐ろしくキャッチ―なコーラスをフィーチャーしている。
7. GODS OF WAR 6:33 ←黒矢オススメ
…で、こっちはタイトル通り、SEも駆使したドラマチックな曲。DEF LEPPARDというバンドはアルバムに1曲はこういうエピック調の楽曲を収録している。
8. DON'T SHOOT SHOTGUN 4:26 ←黒矢オススメ
初期の雰囲気も残したストレートな曲。
9. RUN RIOT 4:39 ←黒矢オススメ
アルバム中、最もHR/HMの色彩が強い曲。
10. HYSTERIA 5:49 ←黒矢オススメ
3、4もそうだけど、ここまでメロウな曲調はこれまでのDEF LEPPARDにはなかった。楽曲の良さと莫大なセールスがそれまでのイメージを吹っ飛ばしたけど。
11. EXCITABLE 4:19 ←黒矢オススメ
印象としては、8と似たような感じだが、前作の流れに最も近いのはこの曲だと思う。
12. LOVE AND AFFECTION 4:35 ←黒矢オススメ
落ち着いた雰囲気の曲で、アルバムのエンディングに相応しいと思う。ま、HM/HR系のバンドで、こういう曲を収録するのは珍しいとも思う。今で言うとギター・ポップだよね。
13. LOVE AND AFFECTION(Live) 4:52
All Songs Written By S.Clark,P.Collen,J.Elliott,R.J.Lange,R.Savage
Produced By Robert John 'Matt' Lange
Rick Allen:Drums
Joe Elliot:Lead Vocals
Phil Collen:Guitars
Steve Clark:Guitars
Rick Savage:Bass Guitar

