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硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2008-12-10)
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おすすめ度の平均: 5.0
5 なぜアメリカ人に作れて日本人には作れなかった?

硫黄島の戦いをテーマにした作品で、「父親達の星条旗」の姉妹作として、日本側からの目線で製作されている。主要なキャストは全員日本人、ハリウッド製の日本映画と言う趣だ。

自分自身は小学生の頃、「硫黄島の激闘」(だったかな?)なる本を読んだ事があって、絶海の孤島で日本軍が善戦した事は知っていた。

作品では、日本軍の健闘云々と言った戦術的なドキュメンタリーではなく、渡辺謙扮する栗林忠道中将らの人間性に光を当て、それぞれの家族や祖国に対する思い、散っていく様を描いている。登場人物に感情移入させる演出、脚本が見事だ。

渡辺謙以上に存在感が際立っているのが二宮和也で、戦時中にあり得ない今風な言い回し、立ち居振舞いを自然に演じている。現代の若者が当時の戦場に入りこんだようで、違和感がないという演技には驚かされる。

「父親達の…」と比較すれば、向こうは戦後という時間軸の中でフラッシュバック的に戦闘シーンが挿入され、起伏のある構成であったが、本作は栗林中将の赴任から戦いの終わりまでという、ほぼ一貫した時間軸で物語が展開していく。そういう意味では二つの作品を比較してみると、対照的とまでは言わないが、演出などに様々な相違点があって興味深い。

戦闘シーンについては「父親達の…」同様、善悪だとか敵味方という視点を、徹底的に拒否している。ただそこに戦いが、殺し合いがあるという事実と、それぞれの人間性との矛盾が戦争への否定につながっている…という印象を受けた。

見る前には涙なしでは…との心構えで劇場に入ったが、意外なことに自分は泣かなかった。世界の現実を見れば、感傷的になってはいられないという思いが強くなったのかもしれない。


キャスト
渡辺謙(栗林忠道中将)
二宮和也(西郷)
伊原剛志(バロン西)
加瀬亮(清水)
中村獅童(伊藤中尉)
裕木奈江(花子)

スタッフ
クリント・イーストウッド(監督/製作/音楽)
アイリス・ヤマシタ(脚本)
ポール・ハギス(製作総指揮/共同原案)
『「玉砕総指揮官」の絵手紙』(栗林忠道・著/吉田津由子・編/小学館文庫・刊)に基づく
スティーブン・スピルバーグ(製作)
ロバート・ローレンツ(製作)
ティム・ムーア(製作)
トム・スターン(撮影)
ヘンリー・バムステッド(美術)
ジェイムズ・J・ムラカミ(美術)
ジョエル・コックス,A.C.E.(編集)
ゲイリー・D・ローチ(編集)
デボラ・ホッパー(衣装)